学び舎ゆう(まなびやゆう)

千葉県流山市江戸川台にあるマンツーマン個別指導の学習塾です。

学習のひとこま

 訪問サポートの生徒さん。

 宿題のノートを見てみると、ここ2週間で「毎日やる課題」の計算ドリルが1P分しか進んでません。ここで何でやってないの!というのは簡単ですが、彼の場合ライフスキルの習得も課題に含まれているので時間をかけて聞いてみます。


 土曜日とかは何をしてた?

「友達と遊んだ!金曜もだね!」

 なるほど、楽しかった後にやるのはしんどいね。先にやっとけば良かったね

「なんとなく後でーって思ってるうちに...(もじもじ)」


 実にわかりやすく切り替えが苦手な彼は、友達と遊んだ日なんかは宿題は手が付きません。人一倍道徳的で、友達や先生にもその点では一目置かれる彼ですが、こと自分のこととなるとどうにも巧くいかないようです(大人でもこういう人はいますね)。


 というわけでここからは対策会議です。彼の場合、新しいことに取り掛かったり場面の切り替えが苦手なのは自分でも自覚しています。どうにかしたいとも思っています。今回はそこからアプローチします。いろいろなやり方を例に挙げて伝え、君は自分で必要だと思う?自分で必要と思わないとこの方法は意味がないよね、と伝えました。


「やったほうが良いに決まってるじゃん!」


力強い前向きな返事が返ってきたので、以前より「決まった場所」に「メモ」を残し、「いつも見る習慣」をつけるといいよ、と伝えていたのを実行に移してみることにします。


 家の中のどこなら自分が定期的に見て大事なことを思い出すきっかけを作れるか。一緒に家の中を徘徊しながら考えます。トイレという良い案も出ましたが、せっかちな彼のこと、そんなに長時間は見ないでしょう。やんわりと別の場所を提案し、最終的には自分からここがいい!を打ち出してくれました。


 彼の指定した場所は家の玄関入って正面の壁。


「学校から帰ってきたら絶対見るし、家を出るときも見るよ!」


 ベストな配置かどうかはさておいて、自分で考えたことです。今回はそのやる気を尊重します。場所が決まったところで、何を媒体にするか。付箋を壁に貼るとかメモをぶすぶす刺すとか大胆な案がいろいろ出ましたが、最終的には名刺サイズの紙(100円ショップで束で売っています)を使用して、それをホワイトボードに掲示するという案に落ち着きました。丁度学校の図工でホワイトボードつきの掲示板を作ったあとなので、それを実用化します。今まで勉強部屋にただぶら下がっていたそれが活躍する機会を得たことも、彼にとってはうれしかったようです。


 どんな風に掲示するか、どうしたら見やすいか、など検討を重ねたのち、彼が作ったカードがこちら。

※上記はプライバシー保護のため冠木が塾で書き直したものです

 カテゴリーに分けたものを色分けして記載するというやり方です。出す出す出す、と韻を踏むように連記しているところが彼らしい。僕の宿題をどう書くかでたいそう悩んでいた彼。どうやら文字数が多くなってしまうのをどうにかしたい様子。


 K先生とか省略して書けばいいんじゃない?

「それだとなんか俺のほうが偉そうでイヤだなぁ」


なるほど。いかにも彼らしい道徳的な嫌がり方です。最終的には色分けするんだから同じ宿題でも分かるしこうしよう、となりました。じゃぁ掲示するためにお母さんに説明しようか、と言いかけたところ、まだやり足りないことがある様子。どうしたの?


「この説明を書いておけば完璧だよ!」

注釈をつけていたのでした。これを自分から行ったという点が素晴らしいと思います。


 授業を終え、お父さんに嬉しそうに「今日やったこと」を説明する彼。やり遂げた感がすごいですが、それをどう使っていくか、どう運営していくかが今後の課題です。それはまた別の機会にこんこんとやりましょう。



 学び舎ゆうでは、この様な「生活に必要なスキル」を身に着けることをむしろ重視しています。彼のように高学年になり自分から考えて課題が明確になっている子はこのように自主性を重んじた活動になりますが、そうでない、まだ自分の課題がつかめないお子さんにはもっと色々なやり方を提示して、保護者様も一緒に考えたいと思います。大事なのは「その子の実になっているか」です。「身になっているか」も同時に大事ですね。


 社会で生き抜き続ける力を身につけるために、今後も生徒さんと一緒に考え続けます。

学び舎ゆう(まなびやゆう)

千葉県流山市西初石所在。 自閉症スペクトラム障害やADHD、学習障害など発達障害のお子様の受け入れを積極的に行う個別指導学習塾です。 TEL&FAX→04-7193-8200